Responsibility:
・Supervision, review for the She-Hulk asset build e.g. model, texture, groom, lookdev and the lighting/rendering method to capture all fine details
・Establish the publish and render workflow to finish about 700
She-Hulk shots
・Oversees CG and Comp Supervisors and leads the evaluation of the technical requirements and potential approaches for the show and show set-up, responsible for ensuring the determination of an optimal course to achieve the client and VFX Supervisor’s vision
・Partners with Digital Producer to lead ongoing staffing discussions and ensures limited resources are effectively tasked by matching artist skill set to assignment; identifies cross utilization opportunities whenever possible
・Organizing and optimizing pipeline with TDs
VFX Production credits: Digital Domain
CLIENT : Marvel Studio
Director :
Kat Coiro ... (6 episodes, 2022) Anu Valia ... (3 episodes, 2022)
In TV on August 18, 2022 (Episode 1)
Role: CG Supervisor
Responsibility:
supervision for all enviro and asset (except Morbius, Milo and Martine)
Review and assign tasks based on artist skills/abilities
R&D and develop new tools and workflow to create complex assets and shot
Organizing and optimizing pipeline with TDs
Split the sequences with other 2 CG supervisors. Tracking the shot tasks and help for the cross-department and location activities
VFX Production credits: Digital Domain
CLIENT : Sony Pictures
Director : Daniel Espinosa
In theater in April 1, 2022
https://www.artofvfx.com/morbius/
映画モービウスの紹介です。前回このHPを更新してから今回の更新まで3年近くかかってしまいました。それというのも、僕の担当分だけで2年近く製作期間を費やした上に、劇場公開が1年以上も伸びてしまったからなんですね。ちょうどこの仕事の追い込みに入った頃にコロナウィルスが流行し、あれよあれよと言う間にパンデミックになってしまい、僕の働く会社も驚くべきスピードでワーク・フロム・ホームに対応してしまいました。2020年の3月に自宅作業が始まって以降、このHPを更新している現在2022年6月まで、もうずっと自宅作業のZoom打ち合わせです。その間ごく一部の親しいスタッフと数回食事で顔を合わせた以外、全く直接のコンタクトを取らずに、インターネットを介したWeb上の打ち合わせだけでここまでやってきました。この非常時に、スケジュールに全く穴をあけることなく状況に対応した会社にも、不慣れな中、それこそ一晩でZoom打ち合わせ、レビューに対応したスタッフにも驚嘆しました。こんなことが起きるということも、自分たちにこんなことができるのだということも、これまで考えもしませんでした。
とはいえ、、、やはり僕はみんなと同じ職場で仕事がしたい。直接話し、ちょっとした合間を見てインタラクティブにアイデアを出し合い、短い時間を使ってトライ&エラーを繰り返す、その膨大な繰り返しの中でかできないものやことがあると思うんですね。特に残念なのは、会社でのレビューは、小さな単館映画館のような部屋のスクリーンに投影して行うんですが、暗い部屋で大きなスクリーンに映像を投影し、みんなで同じ場所に座ってレビューを繰返していた頃に比べて、自宅の小さなモニターで一人でチェックできることには、いくらZoomで画像を共有しているとは言っても、何かしらそれまでにはなかった制限があるように感じます。このプロジェクトに関して言えば、重要なディベロップメントがコロナ前に終わって、あとはショットを終わらせるだけというところまで来ていたので、とても幸運だったように思います。
さて、モービウスです。僕はスーパーヒーローものの映画やコミックの知識にはかなり疎いのですが、モービウスはスパイダーマンが絡むエピソードにおけるヴィランのようですね。映画スパイダーマンも新作が公開されて盛り上がっているようなので、このモービウスが今後どう絡んでいくのか楽しみです。疎いとはいっても、自分が関わる仕事はもちろん鑑賞しますし、それをきっかけにして情報を集めるようにもなります。
今回のVFXは作業分量が非常に多く、さらに多岐に渡ったため、かなり大きなチームを組み、詳細な作業分担がなされました。僕の上司が二人のメインキャラクターを担当し、僕を含めた三人のCGスーパバイザーが、シーケンススーパーバイザーとしてショット作業を3分割して分担しました。僕は担当のシーケンスの他、他のシーケンスを含めた全カットの背景、全ショットで使用される2人のメインキャラクター以外のアセット、それにライティング設計を担当しました。
まず背景は、多くをフルCGになることを前提に構築しました。プレートを流用できるカットもあったのですが、いつフルCGに切り替わってもいいように準備しました。こういったアクション映画では、アニメーションの方向性が突然変わって、背景が使えなくなるということが多々あるからです。破壊FXが絡むものや、近景で詳細なモデル、シェーディングやテクスチャリングが要求されるものはアセットチームに、スピードやフレキシビリティー、遠景のマットペイントなどが要求されるものはエンバイロメントチームに割り振って、レイアウトで共有しました。今回のチームは本当に強力で、ここまでの物量を要求されるプロジェクトとしては考えられないくらいにスムーズに作業を終えました。
次にアセットチームですが、彼らのメインイベントはモービウスとマイロの二人のキャラクターでした。ただ僕自身はこれらの開発に関わっておらず、彼らをショットでアニメートし、FXを足してライトを当て、レンダリングすることに注力しています。僕が担当したアセットはというと、例えばデジタルダブルや電車、ディティールが必要になる背景の一部などですが、特に注力したのはコウモリかも知れません。コウモリは最終的に群集としてHoudiniで表現されることになっていたので、近景用にヒーロー・バットをMayaで準備し、Mantraでレンダリングできるよう、簡易化した群集用のコウモリも距離に応じて3種類ほどHoudini上で準備しました。
強力なチームの後押しがあったお陰でアセットや背景が順調に仕上がり、途中からはライティングと、FXを助けることに注力することになりました。
ライティングに関しては、上司がNuke上ではなく、できる限り3D上でライティングを合わせることに重きを置く人だったので、デジタルドメインの他のプロジェクトでは詰め切らないところまで詰めました。特にモービウスや悪役のマイロは、多くの場合体は衣服を含めてプレートを流用し、頭部をCGに差し替えることが多かったので、徹底的に合わせました。環境光をまず合わせ、CGライトの方向性を合わせ、影の形や色を合わせ、ライトのサイズを微調整してスペキュラーの量やディティールを合わせました。作業が始まった当初は、このやり方でスケシュールが間に合うのかと心配したものですが、最終的にはスケジュールはもちろん、クオリティーにも対応でき、とても勉強になりました。今回の経験は、今後の一つの指標になると思います。
最後にFXです。煙や霧、雲、大気といった環境表現、ガンファイヤーや飛び散るデブリ(破片)等の一般的なものの他、キャラクターの高速移動を表現する際にリボン状に追従する軌跡のエフェクトや、コウモリのDNAから引き継いだエコーロケーションをエフェクトでビジュアル化する必要もありました。これは音の反響を利用して自分と物との距離や空間を知覚するものです。さらにモービウスはコウモリのように風に乗って空を飛び、仲間の(?)コウモリを自在に操ります。Mayaで作ったアセットやキャラクターとHoudiniで作るエフェクトを同じ空間に存在するように見せる必要があったので、ライティングを合わせ、モーションブラーを合わせ、Deep Imageを使ってホールドアウトを共有しました。FX部門もスーパーバイザーやリードがおり、それに加えてCGスーパーバイザーの一人が非常に優秀なFXアーティストであることもあって、コウモリの群衆やエコーロケーションを中心に複雑なFXは彼らが担当してくれてはいたのですが、さすがに物量が多すぎて、こちらで見れる分は分担する必要が出てきたのです。技術的にも難解なものが多かったので、最後の数か月はいつものようにライティングをチェックしつつ、FXにどれだけ時間が割けるかが勝負でした。
最近、ようやく映画を鑑賞したのですが、嬉しいことに後から見ても後悔のない仕上がりでした。仕事が終わった時もそう思ったのですが、余裕を持って仕上げた仕事は、余裕を持って観れますね。できる限りのことはしたと胸を張れるショットばかりなので、チームに感謝しつつ、今後もこういった仕事を続けていければと思います。
2022. 06/12
My roll on the show: CG Supervisor
What I did:
- Supervision for cross location and cross department activities
- Supervision for the assets: we received the model and texture of the maim assets from other vendor as this was a 911 show. We finished the shading/lookdev part on our end to match to the original visual
- Review and assign tasks based on artist skills/abilities
- R&D and develop new tools and workflow to create complex assets and shot.
- Organizing and optimizing pipeline with TDs
- Look development for vehicle, environment and props
- Shot lighting
Production credits:
CLIENT : Paramount Pictures
Director : Tim Miller
ART of VFX: JAY BARTON – VFX SUPERVISOR – DIGITAL DOMAIN
映画ターミネーター・ダークフェイトの紹介です。この映画はターミネーター・シリーズの6作目にあたり、ジェームス・キャメロンやリンダ・ハミルトンが2以降では初めて作品に関わるということで注目されました。
僕は中学2年生の頃にターミネーター2を劇場でクラスメートと一緒に観たのですが、劇場で購入したシュワルツェネッガーのポスターを、長らく部屋の壁に貼っていました。反抗期の怒りにまかせて壊してしまった部屋の壁を隠すためだったのですが、ターミネーター2と聞くと、色々と青春時代の思い出が蘇って来ます。中学生の時に友人と観た映画の中には、ディズニー・アニメーションの美女と野獣などもあり、今思い返すと、恐らくこの頃に僕の将来の仕事と言うのか、方向性が無意識のうちに定まってきていたのだと思います。高校3年生のころには、人生のうちで最も感動したものやことを仕事にしたいと思い始めてはいましたが、それがCGや映像表現と重なってくるのは大学も4回生になり、本格的に卒業制作について考え始めていた時でした。こうやって自分の選んできた小さなな点のようなものが大きくなって、いつの間にか線になり面になり、、、人生はポリゴンだったんですね(笑)。冗談だとは言い切れない何かに気づいてしまったような気もしますが、まずはこの仕事について少し紹介させて頂きたいと思います。
仕事内容としては王道のVFXでした。できる限りフォトリアルなアセットを準備し、トラッキングし、アニメートし、撮影プレートと同様のライティングを施してレンダリングした後、Nukeを使ってプレートに馴染ませる。アクション映画のVFXは、久しぶりにやると楽しいですね。ILMを中心に、いつくかのベンダーが協力して作業にあたりましたが、デジタルドメインは工場内での戦闘シーン、Rev-9のヘリコプター・チェイス・シーンの他、C-5大型輸送機内でのRev-9との戦闘シ-ン、併せて200ショット程を担当しました。とても良いアクション・シークエンスを担当させてもらえたので、最終的に映画を観た感想としては、劇中でとても重要な役割を担えたという印象でした。
まず、アーノルド・シュワルツェネッガー、リンダ・ハミルトン、マッケンジー・デイヴィス、ナタリア・レジェス、ガブリエル・ルナをデジタルダブルとして準備すると必要があったので、先行して作業していたILMにモデルとテクスチャーの共有をお願いし、こちらではICTスキャンやLightfieldのデータをもとに、カメラが寄っても問題ないレベルまでLookdevを詰めました。特にマッケンジー・デイヴィスは、完全にフルCGで、実写としか思えないレベルまで詰める必要のある寄りの長尺ショットが複数あったので、他のキャラクターよりもかなり念入りに仕上げています。
背景に関しても、今回はカメラがとてもよく動くこともあり、撮影プレートにCGを合成する前提のショットでも、いざとなったらフルCGで置き換える判断ができるよう、相当に細部まで作っています。撮影現場で得た3Dスキャンデータやリファレンスをもとにアセットを起こし、同じく現場で得たデータをもとにライティングを構築しました。
どのシークエンスにおいても、出来る限り撮影プレートを使いたいと言う思いで作業するのですが、最終的な判断で実写プレートを断念し、フルCGにせざるを得なかったショットも多かったように思います。ただ、撮影素材がしっかりしていたおかげで十分な情報が得られ、馴染ませに関してはとてもスムーズに作業を進めることができました。
My title on the show: CG Supervisor, Lighting/Lookdev Lead
My roll on the show:
- Supervision and supports for cross location and all cross departments activities
- Review scope of work and assign tasks based on artist skills/abilities
- R&D and develop new tools and workflow to create complex assets and shot. needed to Redshift for the final shot render first time in Digital Domain feature film project.
- Organizing and optimizing pipeline with TDs
- Responsible for completing the Look development and the shot lighting task with department artists as a lead lighting/lookdev artist.
Production credits:
CLIENT : MARVEL STUDIOS
Director : Anna Boden, Ryan Fleck
Behind of the scene / Article
CAPTAIN MARVEL: DAVE HODGINS – VFX SUPERVISOR – DIGITAL DOMAIN
My roll on the show: CG Supervisor, lighting/lookdev lead
What I did:
- Supervision for cross cite and cross all department activities
- Supervision for all assets
- Review and assign tasks based on artist skills/abilities
- R&D and develop new tools and workflow to create complex assets and shot.
- Organizing and optimizing pipeline with TDs
- Shot lighting
Production credits:
CLIENT :
Director : Zhang Yimou (チャン・イーモウ監督作品)
Interview and Making of VFX at Art of VFX
SHADOW: NIKOS KALAITZIDIS – VFX SUPERVISOR – DIGITAL DOMAIN
Golden Horse Awards 2018: The Oscar of Asia, Best Director, Best Visual Effects
チャン・イーモウ監督の映画「影」。中国では2018年9月にすでに劇場公開されたようですが、2019年2月現在、少なくとも北米と日本ではまだ公開されていないようです。僕は以前からこの監督のファンだったのですが、まさか同じ仕事を担当する機会が訪れるとは思ってもいませんでした。20年近くCGをやって来ましたが、頑張って続けて来たことが、思いもよらないことに繋がっていくことがありますね。この映画の公開規模がどの程度になるのか分かりませんが、個人的に映画館で観るチャンスがあると良いと願っています。
さて、今回デジタルドメインは村人たちが鉄の刃を持つ傘で坂を滑り下りて行く一連のシーケンスを60ショットほど担当しました。この仕事ではおよそ300人ほどのデジタル・ダブルが上下の鉄傘に挟まれて滑り下りて行く様子をCGでシミュレートする必要があったのですが、直前に制作を終えていた映画「レディ・プレイヤー・ワン」で使った手法がそのまま使えそうだったので、前作同様、今作でも一緒に仕事をすることになったアニメーション・スーパーバイザーと、ほぼ同じワークフローを取り入れました。
何種類かのアニメーションパターンをクロスシミュレーションやヘアーシミュレーションとともにライブラリー化し、それらをプロキシーとして大量に坂を下るように配置した後、エフェクト・チームが大量の弓矢、水しぶき霧などの要素をシミュレーションしました。
メイキングにあるように実際に坂や村の一部をセットで撮っておいてくれたお陰で、VFXは非常にやりやすかったですね。結局坂道はもちろん建物等、多くをCGで置き換えることになったとはいえ、それでもセットで実際に撮ると撮らないとでは作業の難易度が随分変わって来ます。なんと言っても最終的に必要なもののデザイン、質感、ライティング、モーション・ブラーの強度など、撮影していなければ想像やデータに頼る以外にない部分に関しても、確信を持てるわけですから。
今回はデジタルドメインのオン・セットチーム(撮影現場で必要な素材、データ等を収集するチーム)が現場に行けませんでしたから、撮影時のリファレンスやデータ取りを完全に任せてしまう形になってしまい、作業の難易度もあって若干不安でした。しかしこの監督の撮影チームはさすがにとても腕が良いのでしょう。撮影時に撮っておいて欲しいリファレンス要素を、撮影現場から素早く送ってくれました。撮影プレート自体も素晴らしく、そうなるとアーティストたちの気持ちものって来ます。
この仕事は規模が小さかったこともあって、僕も通常のCGスーパーバイザーとしての仕事だけでなく、ルック・ディベロップメントとライティングのリード・アーティストも兼任しました。プロダクションからのリクエストがあったからですが、腕の良いアーティストたちに恵まれたお陰で、多くを任せることができ、終始安定して仕事を進めることができました。
作業量が少なかったこともありますが、このチームはあらゆる部門に隙が少なく、チームとしてやるべきことをきちんとやって、全く何の不安もなくスケジュール通りに仕事を終え、作品自体も中国の大きな映画祭でビジュアルエフェクト部門の大賞に選ばれるなど、全く良い記憶しかない作品でした。
My title on the show: CG Supervisor
My roll on the show:
- Supervision and supports for cross location and all departments activities
- Supervision for the assets: we received the model and texture of the maim assets from other vendor as this was a 911 show. We finished the shading/lookdev part on our end to match to the original visual
- Departments I was looking: Model, Texture, CFX, Lookdev, Light
- Review scope of work and assign tasks based on artist skills/abilities
- R&D and develop new tools and workflow to create complex assets and shot.
- Organizing and optimizing pipeline with TDs
Production credits:
CLIENT : MARVEL STUDIOS
Director : Peyton Reed
Behind of the scene / Article
My roll on the show: CG Supervisor
What I did:
- Supervision for cross cite and cross department activities
- Supervision for all assets
- Departments I was responsible for: Model, Texture, Lookdev, Light, Enviro
- Review and assign tasks based on artist skills/abilities
- R&D and develop new tools and workflow to create complex assets and shot.
- Organizing and optimizing pipeline with TDs
- Tracking the shot tasks and help for the cross-department activities
- Look development, Shot lighting as needed
Production credits:
CLIENT : AMBLIN ENTERTAINMENT
Director : Steven Spielberg
Behind of the Scene
スティーブン・スピルバーグ監督作品、映画レディ・プレイヤー・ワンの紹介です。僕はこの仕事が立ちあがる直前、2016年の8月にLAからバンクーバーに移住したのですが、この仕事の監督がもしスピルバーグではなかったら、バンクーバーに移住する決断をすることはなかったかも知れません。僕にとってスピルバーグ監督はもはや空想の世界の登場人物で、現実世界で関わり合う機会が訪れるとは正直に言って想像をしたこともありませんでした。
さて、この映画でデジタルドメインは、現実世界におけるVFXの全てのショットを担当しました。主な内容としては、まず主人公ウェイド・ワッツが住むトレイラー住宅の集合体「スタック」が挙げられます。また劇中で最新式のVRギア、ハプティク・IOIブーツスーツ。これはVR仮想世界での触覚を現実世界で体感するための触媒となるスーツなのですが、ウェイドがVR世界で感じている触覚をビジュアルで再現するためにスーツごとCGに置き換える必要がありました。さらに冒頭でウェイドがVR世界にコンタクトする際にカメラがVRヘッドセットの中に飛び込むのですが、当然そんなカメラの動きは現実世界では不可能ですから、主人公のウェイドはもちろんのこと、隠れ家の背景もすべてCGに置き換えました。偵察ドローンやカーチェイス・シーン、様々なマットペイントを含む環境拡張、「スタック」の爆破シーンのほぼ全て、さらにウェイドのVR世界でのアバターであるパーシバル(Parzival)が現実世界に投影させるためのホログラム技術など、作業内容は非常に多岐に渡りました。
これらの中で、個人的に技術的な面で最も大きなチャレンジだったのは、まずはウォー・ルームでしょう。これは500人以上のシクサーズと呼ばれる、オアシス内でイースター・エッグ・ハントを任務にしているIOI戦闘員の仕事場で、それぞれの兵士は持ち場のウォー・ルーム・リグと呼ばれるデバイスに乗って、オアシス内のアバターを操ります。彼らがオアシス内でダメージを受けるとリグが黄色に、死亡してゲーム・オーバーになると赤色の光を発し、次の人に交代するとまた白い光に戻り、またダメージに応じで痛みがリグを通じて生身の肉体にも伝わるような仕組みになっています。これをCGで再現するために、様々な動きのモーションキャプチャーをライブラリーとして何パターンも準備し、ダメージを受けた場合はこれらのアニメーションを、死亡した場合はこれらのアニメーションを自動でランダムにピックアップし、さらにダメージの度合いによって光の色や強さも自動で選択されるようにディべロップしました。
もうひとつの特筆すべきチャレンジは「スタック」と呼ばれるトレーラーの集合住宅の制作と、その破壊シーケンスでしょうか。これらはトレーラーハウスを最大で15台程度を積み上げたようなデザインになっていて、外観はもちろん、内装に至るまで丁寧にCGで再現しました。撮影班が、ロンドンの撮影現場に最低限必要なスタックを実際に撮影セットとして作成しており、我々としてはこの実際のセットを3DスキャンしてCGモデルを作成するところからスタートしました。トレーラーはもちろんのこと、ゴミのシューターやイス、植木鉢などのプロップ、そこで暮らす人々もデジタルダブルで再現しました。細かいアセットをおよそ200程度作成し、レイアウト・ツールを用いてこれらのアセットをランダムに組み立て、外観の異なる20程度のバリエーションを用意しました。テクスチャーやルックデブにも当然バリエーションが存在し、同じモデルを使って異なった外観を表現できるようにもなっています。
またこのスタックが爆破されるシーケンスでは、実際に撮影したセットのスタックを、ほぼ100%CGで置き換えています。技術的には、レイアウトを丸ごと1つのアセットにマージして、プロキシーアセットを自動生成させるツールを新たに開発しました。1つの「スタック」はレイアウトで数十のアセットを寄せ集めたものなのですが、このツールのお陰で、これを1つのプロキシーアセットとして扱えるようになりました。FXで破壊エフェクトをシミュレートする上で、レイアウト内に多数のアセットを持つことを嫌ったからです。これをHoudiniで読み、破壊エフェクトを加えた後、プロキシーとしてMaya-Vrayに読み込み直して、レンダリング時にAlembicに展開し直して計算しました。
それにしても、スピルバーグ監督との仕事は素晴らしい経験になりました。この仕事以前の僕にとって、彼は本や雑誌にのみ登場する「向こう側」の世界の登場人物で、現実世界で、時間と空間を共有できるような人物ではありませんでした。1年程度のVFX制作期間の間、とても集中して制作にあたり、やろうとしていたことに関して、自分のベストを尽くせたと思います。2度とあるかどうかわからないチャンスを不意にしたくなかったので、後悔しない結果になったことにホッとしました。
My roll on the show: CG Supervisor, lighting/lookdev lead
What I did:
- Supervision for cross cite and all cross department activities
- Supervision for all assets
- Review and assign tasks based on artist skills/abilities
- R&D and develop new tools and workflow to create complex assets and shot.
- Organizing and optimizing pipeline with TDs
- Look development for the ending sequence when they go back to the earth
- Shot lighting
Production credits:
CLIENT : Disney
Director : Ava DuVernay
Digital Domain helped for the Disney movie “Wrinkle in Time“ in 2018 for several outstanding sequences and I was responsible for the sequence “flowers speak in color“ especially. The challenging on the sequence was visualizing the flower’s communication in the motion and the color of the petals.
ディズニー映画Wrinkle in Timeの紹介です。デジタルドメインとしては、この花のシークエンス以外にも、様々なシークエンスを担当しています。今作品での僕の主な役割は、CGスーパーバイザーとして作品に関わるCGに関する全ての問題をチームとともに解決したり、数ある方法論の中から予算的、技術的に適した方針を決めて行くことでした。ショット毎にCG要素を洗い出し、スケジュールと予算を組むのを手伝いつつ、各デパートメントと協力して作業の流れを確認します。今作は規模が小さかったので、基本的に僕が全てのデパートメントを見てはいましたが、優秀なデパートメント・リードがいる部署は、必要な情報の共有に留めて、なるべく実作業は任せるようにしました。これはこの仕事に限ったことではなく、僕の映画仕事における基本的なスタイルです。優秀なリーダーが率いる部署は、必要な情報とスケジュール、アセットさえ与えれば、後は黙っていてもどんどん仕事を進めて行ってくれるからです。
僕としては、全体のスケジュールを見て、必要なものを必要なタイミング、そのタイミングで必要とされるクオリティで用意しておくことに注力します。例えばテクスチャ・アーティストはモデルとUVが必要ですが、リギング・アーティストは多くの場合モデルさえあればUVは気にしません。ルックデブ・アーティストはモデルとテクスチャーさえあれば作業を始めることが出来ますし、アニメーターはモデルとリグさえあれば、仮にUVやルックデブがなくても問題ないことが殆どです。
映画の作業は比較的スケジュールが長いので、最終的に最大限のクオリティが出せるように努める必要があります。スケジュールを常に気にして、今それをする必要があるのか、アーティストを急かしてまで実現する必要があるかを見極めるのも重要です。僕も含めてスーパーバイザーは早く良い結果を見たがるものですが、あまりやり過ぎるとチームがスケジュール半ばで力尽きてしうからです。最終的に絵が出来ていることが重要で、必要もなく早い段階で素晴らしい絵が出来上がっている必要はないということです。余力をなくしたチームは、体力的にもメンタル的にも多少なり問題を起こし始めるものなので、自戒の意味も含めて、スケジュール管理の重要性を書いておきます。
僕が主に担当したのは、このページで紹介している花のシークエンスのほか、麦畑が突然森になる場面、さらにキラキラしたパーティクルの飛び交うエンディング近くのシークエンスなのですが、多くをデパートメントに任せっきりで、僕自身の貢献度も低かったので(苦笑)、ここでは割愛することにしました。また、普段他の作品のスーパーバイズをするような人たちがリードやアーティストとして参加してくれたお陰で、僕の仕事は随分楽なものになりました。
技術的な点でいつも問題になるのは「量」です。花を1輪CGで作ってアニメートする場合、最近では恐らく個人でもクオリティの高いものが作れてしまうアーティストが大勢いるのではないでしょうか。ではそれが10本ではどうでしょうか。スケジュールの中でかなり頑張って良い動きを突き詰めて行くことになるとは思いますが、それでも可能でしょう。では400本の花がそれぞれコミュニケーションを取るように関連付いた動きをするとしたら、、、こうなるとスケジュールの中で少しスマートに動く必要がありますね。最近では時間さえあれば大抵のことは出来てしまう時代になったと思うのですが、時間にも予算にも制限があるのが仕事というものです。今回は基本的なアニメーションのパターンをバリエーション化してMayaでライブラリー化し、それをAlembic cacheでHoudiniに吐き出し、Houdini上で数百本の花の動きに乗せ変えました。ライブラリー化したアニメーションの発生ポイントやタイミング、それぞれの位置関係などを定義して花同志がコミュニケーションを取っているように見せ、その上でソフトボディのような2次的なモーションを加えて大多数をプロキシー、少数のカメラに近い主役の花をAlembic cacheとしてとしてMayaに戻し、VRayでレンダリングしました。
My roll on the show: Look development Artist
What I did: Look development for Beast character includes few costumes and props
- software -
Maya (VRay), Mari, Photoshop
Production credits:
CLIENT : Disney
Director : Bill Condon
It is Disney's live-action movie "Beauty and the Beast" released in 2017. Many CG characters appear in this movie, but I was in charge of look development of the beast and his few costumes. It’s ended up one year work from the concept development to the final look. The entire lookdev was technically challenging but the specific part I was really much paying attention than others was the hair and the cloth.
2017年公開のディズニーの実写映画「美女と野獣」です。この映画には多くのCGのキャラクターが登場するのですが、僕は野獣のLook Developmentを担当しました。Look Developmentというのは、グレーでなんの質感も付いていないCGモデルに色やつやを与え、光の中で質感を再現し、CGキャラクターがスクリーンでどのように見えるかを決定する仕事です。毛の一本一本の色を決め、目の色や質感を主演のダン・スティーブンスに合わせて作り込み、例えば毛の1本1本の光の反射率や色味を微妙に変えて自然に見せたり、爪の先や皮膚にどれだけ光が透過するかといった、細部にわたるまで気を配ります。野獣のデザインがまだ決定していない段階から仕事をはじめ、多くの意見を取り入れながら少しずつ作業を進め、最終的には一年がかりの仕事になりました。僕はこれまでコマーシャルの仕事も多く、一年以上も一体のキャラクターに時間をかけた経験がなかったので、様々な意味で大きなチャレンジになりました。例えば毎日同じものを見ていると、良かったものまで悪く見えてきて、無意識に良かったところまで壊し始めてしまうことがありました。スケジュールが短い場合であれば壊している暇すらないので比較的1本道なのですが、1年も時間があると、回り道や下手をするといつの間にか来た道を逆走する時間まで出来てしまうのです。そうならないようにするためには、何が良くて何がダメなのか、常にきちんと理解しておく必要がありました。何より時間を割いたのは目と毛です。野獣は全身毛に覆われていて、もともと表情の出しにくいキャラクターなので、ちょっとしたしぐさで役者の印象を残すためには、毛で覆われていない目の表情が殆どすべてと言っても良いほど重要だったと思います。毛についても非常に難度が高く、ちょっとした髪型の違い、色の違いでキャラクターの印象がまるっきり変わってしまうため、何度も何度もやり直しました。一般的に、というよりも僕のルック・ディベロップメントという仕事に対する理解として、一旦技術的に正しいと思われるところまで到達出来たら、技術的な部分ではなるべく変更せず、作業プロセスの安定化やレンダリングの最適化を図った上で美術的な点、つまり色などに必要に応じて変更を加えるというスタンスで当たるんですが、この仕事の場合は様々な点で技術的に安定させるのが難しく、常に技術的、美術的な変更を同時に解決していく必要がありました。
コスチュームにもとても時間がかかりました。今回僕が担当した仕事の中で、野獣本体以外で1番時間がかかったアセットは野獣が登場するシーン以降映画中盤まで着ているコスチュームしょうか。薄汚れたな印象を出すために様々な種類の布を貼り合わせたようなデザインになっていて、CGでの再現が非常に大変でした。また糸のほつれなどの細かい繊維のディティールを表現する上で、Mayaのpaint effectsや自社製のHairツールを使用したりもしています。
ところで僕はアニメバージョンの、つまりオリジナルの美女と野獣の大ファンです。公開当時、僕は中学二年生だったんですが、男友達数人と劇場で鑑賞しました。それ以来ディズニー映画が好きになり、その中でも美女と野獣が特にお気に入りだったんです。だからこの仕事を担当しないかと声をかけられた時は、もう絶対に僕がやりたい、とにかくやらせて欲しいと言って、映画の主演でも射止めた売れない役者のように喜びました。この仕事が完成するまでの1年ちょっとの間、正直に言って上手くいかないことも多く、プレッシャーにつぶされそうになったり、風邪をひいた結果生まれて初めて全く声が出なくなってしまい、でも休んでいる間に誰かが作業を進めてしまうんじゃないか、そんなのは絶対いやだと仲間に嫌がられながらマスクをして職場に通ったりと、色んなことが思い出されます。でもとても楽しい1年でした。8年前に渡米した時はこんな幸運は想像できませんでした。何でも頑張ってみるものですね。
現在は北米はもちろん、日本でも映画が公開されて、多くの人たちが楽しんでくれている様子が伝わって来ました。原作に忠実に作ろうと決めた製作陣に感謝ですね。実際には仕事が終わってからもう一年近く経っているのですが、ようやくほっとしました。今は映画を見てくれた人たちの感想レビューを見ながら、映画のサントラを聞き、このページをアップデートしています。
もしかしたらこの映画をこれから何度も繰り返し観てくれる人がいるかもしれません。僕もオリジナルのアニメ版をそんな風に何度も観て、英語で歌が歌えるようになるほど楽しんできました。そんな可能性を持った映画に関われた幸運と、チャンスをくれたスタッフに心から感謝しつつ、次の機会には何とかもっと期待にこたえられるように、技術を磨いていきたいと思います。
2017 May 17th
My roll on the show: Lookdev / Lighting artist
What I did:
- Lookdev: MQ-9 Reaper Drone
- Lighting: all shots for the reaper drone
More Details:
This project was pretty small and short term. I was the only lookdev/lighting artist on the show as we had only 3 shots totally. For the lighting, Environment team rendered 360 panoramic image in Terragen and Matte painter added extra details on top of it. That was pretty productive way to prepare the HDR which is shot in 7,600m height in the sky. I used the HDR for the basic lighting and reflection.
Lookdev part was straight forward, but there is always some challenging part. Reaper Drone is a big plane more than I would imagine, but looks pretty simple and all gray shaded and matte coating, so it’s a little bit difficult to express the scale of it. Texture artist prepared small details and undulation to help for that.
- software -
Maya (VRay), Nuke
Production credits:
CLIENT : Bleeker Street Films
Director : Gavin Hood
2016 年公開の映画「Eye in the Sky」の紹介です。自爆テロに関わったテロリストの隠れ家を急襲するというアメリカ軍の極秘ミッションを描いた作品なんですが、そのミッションで使用さ れる無人戦闘機MQ-9 Reaper(リーパー)をCGで制作しました。登場するショットの背景も、マットペイントを利用してNuke上で作成されています。僕が担当したのは リーパーのLook Development(ルック・ディベロップメント)、さらにライティングで、要は質感の決定、さらにショットの中で光を当てて背景に馴染ませ、存在感 を持たせる作業です。今回は現実世界にある戦闘機がモデルですから、写真等参考資料は十分にありました。戦闘機、特にステルス機のボディに入る光沢は、実 際によく観察してみると非常に複雑な見え方をしているので、その点は気をつけて制作にあたりました。リーパーは外観がとても単純で、まさにラジコン飛行機 がそのまま大きくなったような作りをしています。色見もグレー一色で、CGで作るとディティールを出しづらいモデルだったので、その分テクスチャー・アー ティストに細かい部分を工夫してもらい、要所要所でディティール感が出るように考えています。
ライティングでは、最近Terragenを利 用することがあります。Terragen上でライティングをするという意味ではなく、もちろん毎回使うというわけでもないのですが、今回などは無人 戦闘機が7,600mほどの高度を飛行していると仮定しており、そのような特殊な環境で撮影された都合の良い環境マップを探すのが困難だったため、 Terragenを使って空や地表を作成し、実際に7,600mの高度にカメラを設定して32bitの360度パノラマHDR画像を生成しました。ステル ス機体が基本的に非常にマットな材質であることもあって、これだけでライティング用途としてはある程度十分なものが出来あがったのですが、今回は terragen作業に割ける時間が少なく、機体に付属しているいくつかのクロム素材に写り込む絵が十分にフォトリアルにならなかったため、マットぺイン ターの協力を得て、必要な部分に写真をベースにしたフォトリアルなディティールを加えてもらっています。
作業自体はとても短い期間に、別に動いている大作映画の作業の合間を見計らって制作され、一日2時間程度を割いて、大体3週間くらいで終了しました。
My roll on the show: Lookdev / Texture / Lighting artist
What I did:
-Texture: Favshaw (grunge and damaged), tree(hit to enemy car)
-Lookdev: Favshaw (grunge and damaged), tree(hit to enemy car)
-Lighting: car chase sequence mountain road for 15 shots totally
More Details:
I joined to the team as a lookdev/lighting artist when the work has entered to the climax. The most of assets had been nearly completed, and lighters were receiving a shooting plate, tracking camera, as well as the tracking object and light-kit the lead lighter has already provided.
I worked on texturing, lookdev for the Favshaw (Shaw's car) and tree that enemy guy would hit to. I draw a texture using Mari and publish it to myself, and finished lookdev them in the shot lighting.
What I was in charge as shot lighting, it is the car chase scene in the mainly mountain road. I replaced entire car, or a part of the car to CG and also the hero tree for 15 shots totally in 4 weeks.
- software -
Maya (VRay), Nuke, ZBrush, Mari, Photoshop
Production credits:
CLIENT : UNIVERSAL STUDIOS
Director : James Wan
映画”Furious7”。邦題では「ワイルド・スピード7」だったと思います。この仕事の良いところは、出来うる限り撮影しようとチャレンジするスタッフの姿勢と、VFXを使用する際の「見切り」の良さだと思います。どこまで撮って、どこからVFXにするかという線引きは、経験のある人たちにとっても難しいところだと思うんですが、この仕事ではそれが非常に良いバランスで実現していると思いました。このくらいまで出来ていると、安心してストーリーに集中できると思います。
僕は仕事が佳境に入った段階で、ルックデブ/ライティング・アーティストとして参加しました。映画仕事もこの段階になると、アセットもほぼ出来上がっていますし、グレーディングされた撮影プレートや、トラッキング・カメラ、車をCGに差し替える場合などのために、トラッキングされたオブジェクトなども、ワンセットでライティング・アーティストの元に届きます。ライティングにスムーズに入れるように、リード・ライティング・アーティストが準備したライトキットも揃っていて、この段階まで来ると、もう至れり尽くせりですね。
今回は運良く(?)、悪役Shaw(ショー)の運転する車のルックデブ、突き刺さる木のテクスチャ作業とルックデブという、いくつかのヒーロー・アセットの仕事が残っていたので、自分でMariを使ってテクスチャーを描き、それをパブリッシュしてルックデブを仕上げつつ、ショットに入れ込んでライティングするという流れでした。車や飛行機などのハード・サーフェイス・アセットのシェーディングは、経験上、例えば鉄だったらこれで大丈夫、というようなものがあるのですが、モデルやテクスチャーが変わると結果や印象も変わってしまうので、結局毎回ある程度の調整作業が入ります。僕の担当したグリーンの車(Favshaw)は、土埃を巻き上げながら坂を転がり落ちて行くことになっていたので、タイヤや底面に泥汚れやスクラッチを足し込んでいます。ライティングに関しては、太陽が主光源で、スタイリッシュに見せるというよりもリアルに見えれば良いという場合が多かったのと、それぞれのカットの尺が短かったこともあって、HDRをベースに、太陽光のキーライトの位置を微調整する程度でした。
僕が担当したのは、悪役が山道でのカーチェイスの末に、木に激突するまでの一連のシーケンスです。車の全体、もしくは一部をCGに差し替えています。最終的に15ショットほどを担当しました。
My roll on the show: CG Supervisor
- Suping cross department activities
- Shot lighting
- software -
Maya (VRay), Mari, Nuke
Production credits:
CLIENT : Cadillac
PRODUCT : CT6
AD AGENCY :
Director : Joseph Kosinski
ANIMATION & VISUAL EFFECTS: Digital Domain, 3.0 Inc.
今回はCGスーパーバイザーとして参加したキャディラックのコマーシャルです。デジタル・ドメインのコマーシャル部門において、CGスーパーバイザーの主な仕事は、仕事の技術的な制作方針を決定、スケジュールやアーティストの配置をプロデューサーとともに決定することです。CGスーパーバイザーは、基本的にモデリングからコンポジットまでの、実作業全体に責任を持ちます。各部署のリードアーティストと連携して、アセットやエレメントが滞りなく流れるように気を配ります。VFXスーパーバイザーやクライアントの要求するクオリティレベルまでプロジェクトを引き上げることに対する責任を持ちますが、リード職のように実際に作業をする必要はありません。
僕は普段の仕事ではリード・アーティストとして働くことが多いのですが、スーパーバイザーとしてプロジェクトをまとめようとする場合、要は僕の代わり、普段僕がやっている実作業を代わりにこなしてくれるリード・アーティストが必要になるわけです。上司から「新しいことに挑戦したければ、君のリプレイスメント(代わり)を育てなければならない。」と口酸っぱく言われているにも関わらず、これが遅々として進みません。理由ははっきりしていて、僕が作業をやりたがってしまうからです(苦笑)。日本のCMくらいの分量であれば、多くの場合でスーパーバイザー業もアーティスト業も兼任することが出来たんですが、今となっては不可能です。今現在、僕は2017年公開の美女と野獣の制作中ですが、どんどん大きくなる作業の規模に対して、自分の本当にやりたいことをきちんと見つめ直す時期に来ているんだと感じますね。
さて、肝心の実作業の内容ですが、ほぼフルCGのカットばかりになりました。車の外装は、撮影時に劇車がまだ完成していなかったため、別の車を撮影して、後で全てCGに置き換えています。内装はもちろん、CGの車のパーツが出てくるカットは背景も全てCGです。撮影時にはまだCGの作業内容が決まっていなかったので、カメラを自由にCG内で動かせるようにするためには、背景までCGで作ってしまった方が都合が良かったからです。NYの街並みを大量に写真撮影し、マットペイントとCGを組み合わせて背景を作成し、CADデータから起こした車のCGアニメーションとともにVRayでレンダリングしました。
My roll on the show: CG Lead
What I did:
- Leading cross-site and cross department activities
- Leading asset team and lighting
- Lookdev: Titan character, enemy creatures and statue
- Lighting: for shots showing on this page
More Details:
I was a CG Lead on this show to lead cross site and cross department activities as well as the assets team and lighting team especially. Lookdeving and lighting the main characters was also another part of the roll.
We took many polarized photos in the studio for the hero character asset and generated photogrammetry. That helped us to create the base model in ZBrush quickly and texturing work in Mari. Regarding to enemy characters, we started from the game models client provided and upreso’ed model and texture using ZBrush, Mudbox, Mari and Substance Designer as needed for the closeup details.
- software -
Maya (VRay), ZBrush, Mari, Nuke, Photoshop
Production credits:
CLIENT : BUNGIE, Activision
PRODUCT : DESTINY
Production Comapany : Digital Domain 3.0 Inc.
Director : Joseph Kosinski
Animation & Visual Effects by : Digital Domain 3.0 inc.
以前やった、ゲームDestinyの実写トレーラーの続編です。前作が幸運にもAICP AwardsでBest Visual Effects賞を頂き、そのお陰で続編のオファーとなったわけです。VFXスーパーバイザーのEricを筆頭に、前作のスタッフが再び集められました。とは言えこういった仕事は嬉しいですね。過去の仕事をクライアントに喜んでもらえた結果として次が来るという流れは、自ずとやってやろうという気持ちになります。
さて、内容の方ですが、「勝っているチームはいじるな」という格言の通り、全く前回の通りでした。僕の役割も同じで、違いは前回90秒だった尺が60秒になり、前回は3人必要だった主要キャラクターが、今回は黄色いコスチュームを着たタイタンというキャラクターの一体だけになったことでしょうか。アセットの数も半分くらいになりましたが、その分フルCGの背景の分量が増えて、結局作業量も前回と同じくらいに落ち着いたという印象です。前回はかなりの部分の背景を撮影できたんですが、今回はストーリーとして敵の宇宙船"Dreadnaught"内での出来事を追う必要があったので、殆どのショットの背景をフルCGで制作することになりました。
今回僕が担当したのは、前回と同様CGリードとしてアセットチームの統括と、ショット・ライティングのマネジメントやセットアップです。これはコマーシャル部門の仕事なので、ジェネラリストをアセットチームに配してアーティストごとにキャラクターを割り振るようなやり方も、僕が望めば出来なくもないのですが、最近はことキャラクターに関してはスタッフィングに特に気をつけて、確実にタスクを消化できる見込みのあるスペシャリストを各部門の担当に置くようにしています。最近は求められるクオリティもシビアになってきていて、相当に優秀なジェネラリストでない限り、求められるレベルを全ての面でクリアするのは難しくなってきていますし、それだけ優秀なジェネラリストたちを、プロジェクトごとに安定的に集めるのがまず大変です。クオリティ管理の面でも、モデルやテクスチャー、ルック・ディベロップメントは、分けて考えた方がスケジュール管理の面でも、予算面でも、都合が良い部分が増えてきました。そんなわけで今回はモデラーが3人、テクスチャー担当が3人、ルック・ディベロップメントが2人、という構成でアセットチームを組みました。もちろん彼ら全員がスケジュールの頭から終わりまで常駐するわけではなく、モデラーは頭から3週間、テクスチャーはモデルが準備できてからスタートし、その時点から3週間、ルックデブはテクスチャーが上がりそうなタイミングでスタートするというようにスケジュールを組むと、予算も助かるわけです。
僕はVFXスーパーバイザーやプロデューサーとやりとりしつつ、必要に応じてアセットチームをマネジメントしつつ、実作業としては全てのキャラクターのルックデブ(質感及びショット内での見え方の決定)、左右に彫像が並んでいる廊下のフルCG背景の作成、及びほぼの全てのショットでのライティングワークフローののセットアップを担当しました。
My roll on the show: Lookdev / Lighting artist
What I did:
-Lookdev: all CG assets
-Lighting: all under water shots
More Details:
I worked for the shot of Amy sinking in the water, which have been used in the trailers. That’s better than trying to do multiple takes with the real actress by drowning her in cold water. We created her digi-double and hair, several water elements and fx debris to recreate water atmosphere. I was responsible for look development and lighting works for all CG assets and shots for under water sequence.
- software -
Maya (VRay), Nuke, Photoshop
Production credits:
CLIENT : 20th Century Fox
PRODUCT : Gone Girl / Feature Film
Director : David Fincher
ANIMATION & VISUAL EFFECTS: Digital Domain3.0 Inc.
デイビッド・フィンチャー監督の映画「ゴーン・ガール」。主人公の一人、エイミーの死体が犯人によってミシシッピー川に投げ込まれるイメージ・シーケンスをCGで制作しました。右のスタジオ・イメージにあるように、水中を模したライティングを施し、女優のロザムンド・パイクを台座にのせて、スタジオで撮影しました。これだけでは水中にいるようには見えないため、全身を一旦CGで作り直し、水中での服や髪のゆったりした動きをCGで置き換えたり、腐敗した皮膚を加えたり、水中に漂う漂流物やボリュームライトを追加することで、女優が水中を漂っているように表現しています。寄りのカットの顔は撮影されたプレートを使用していますが、それ以外の部分は、最終的にCGに置き換えることになりました。
担当したのは、こちらで言うルック・ディベロップメント(Look Development)という部分です。モデラーやテクスチャアーティストと連携しつつ、シェーディングやライティング、Nukeなどの技術を駆使して、3Dアセットの最終的なルックを決めます。この工程は、アセット関連のワークフローの一番下流に位置しているため、モデル、UV、テクスチャー、シェーディングに関わる問題点は、この段階で全てクリアにする必要があります。問題が見つかった場合は、各部署のリード・アーティストに問題点を指摘して、改善を待たなければなりません。コマーシャルの場合は自分で直してしまうような問題であっても、映画仕事の場合、基本的に他部署の作業をすることはありません。
Gone GirlのCG作業は映画と言うには規模がとても小さく、結局僕一人で、全てのCGアセットのルック・ディベロップメントとライティング作業まで終えてしまいました。映画の仕事は細部にわたって分業がなされているのですが、なるべく多くを自分でやりたい僕としては、普段から少し物足りない部分も感じたりしています。このくらいの規模の映画仕事が、自由度が増すという意味で、個人的には一番好きですね。
My roll on the show: CG Lead
What I did:
- Leading cross-site and cross department activities
- Leading asset and lighting team
- Lookdev for the characters and props
- Lighting: for shots showing on this page
More Details:
I joined to the team as a CG lead to be responsible for the assets and lighting department mainly. This was a unique project to create a video game trailer in the live action film. There were some wide-angle shots as well as close-ups and I knew a high level of quality was expected for both. The assets are originally adjusted to make them look great in game engine by our client, not live action environment. So we needed to upres the model, texture and lookdev match to the live action plate as needed.
Our asset team had to prepare about 15 hero assets include 3 hero characters, 4 enemy creatures and their vehicles and weapons in 5 weeks. I also had 3 modelers, 3 texture artists, 3 lookdev/lighting artists in the team to finish all tasks.
- software -
Maya (VRay), Nuke, ZBrush, Mari, Photoshop
Production credits:
CLIENT : Activision Publishing
Agency : 72andSunny
Production Company : RESET Content
Director : Joseph Kosinski
ANIMATION & VISUAL EFFECTS: Digital Domain 3.0 Inc.
今回の仕事は、ゲームのトレーラーを実写で撮影するという、普段あまり経験のない挑戦でした。主要な登場人物の寄りのカットは、全て実写で撮影することになっていましたが、現実的に不可能な動きが必要なショットに限り、デジタル・ ダブルが必要になりました。乗り物に乗っているショットや、崖から飛び降りるショット、必殺技を決めるために大ジャンプするショットなどの主要キャラクターは、寄りのカットも含めて多くをフルCGで作っています。敵のクリーチャーは全てCG、背景にはマットペイントを基本として、CGで必要な部分の拡張を行 うという、VFXの基本的な仕事内容となりました。
僕はデジタルドメインでコマーシャルを担当する場合、CGリードという役割で当たることが多いのですが、担当する分野は多岐にわたります。キャラクターや背景といったアセットのモデリング、テクスチャー、質感設定からショット・ライティングに至るまでの制作方針の決定、ワークフローの整備、その実制作が主な役割です。この場合、アニメーションやFXなどの、動きの要素は他の部署に任せることになります。VFXスーパーバイザーと直接やりとりしてクライアントからのフィードバックを取り込みつつ、必要なクオリティ・レベルまでプロジェクトの「ルック」を持ち上げます。映画を担当する場合と違って、プロジェクトの広範囲に渡ってチームをリードし、フィニッシュワークまで責任を持てるのが、コマーシャルなど比較的小規模のプロジェクトの醍醐味です。ただ平均して2カ月程度のスケジュールで、アセットのディベロップメントを含め60ショット程度の分量をこなす必要があり、映画プロジェクトと比較しても、非常にタイトな制作スケジュールの中でクオリティを求められることになります。
アセットに関して、今回のプロジェクトでは3人の主要登場人物のデジタル・ダブル、3体の敵クリーチャーのほか、それぞれの乗り物や武器を合わせて、15程度のメインアセットを5週間で制作しましたが、それぞれの部署で技術的な問題を起こさないよう、きちんと作業が流れるようにするのも僕の役割になります。コスチュームを着た俳優を、スタジオで複数のアングルから偏光フィルターを使ってハイライトや写り込みを排除した写真を撮影し、それをMari上でプロジェクション用のテクスチャーとして使用しました。こうするとディフューズ用のテクスチャーを非常に素早く作成できます。同時に同じ写真をAGI-softwareに取り込んで3Dモデルを作成し、モデリングのガイドとして使用しました。
アセット作業も終盤に差し掛かってくると、今度は撮影プレートが届き始めます。同時にトラッキングやロト作業、プレートのグレード作業に入るわけですが、グレードされた撮影プレートと同時に、現場で撮影したHDR画像を受け取ります。
この段階でライティングチームも動き始めるのですが、ここでの僕の仕事は、HDRから正しいライティング結果を得るためのキャリブレーション作業、CGライトを置く場合にはライトキットの準備、フリーランスのスタッフが入ってもスムーズに制作に入れるよう、レンダー・レイヤーのテンプレート制作や最適化したレンダリング設定のプリセット作成などです。それらが実用レベルに達したところで、ライティング・アーティストにそれぞれを引き渡して、ショットごとにライティングの調整、レンダリング作業に入ってもらいます。ただ、このプロジェクトに限って言えば、運良く非常に優秀なランティング・アーティストばかりが集まってくれたこともあって、他のアーティストのフォローは殆ど必要ありませんでした。稀に見るスムーズな仕事だったと思います。
My roll on the show: CG Lead
What I did:
- Leading for the cross site and cross department activities.
- Leading asset and lighting works.
- Lookdev for the characters, props and some environments
- Shot lighting
More Details:
This might be one of the hardest show I have worked since I started my career. The biggest challenging of this show would be the schedule. We aimed to create the high-end cinematics trailer using the best technology we can come up with at Digital Domain. Original Hair system Samson, Mova facial motion capture and ICT scan for the characters. Every single tech basically requires the schedule and the budget to create a feature film. Our challenging was not assumed to be done easily. We gathered all star class sups and leads from every departments and all locations. This was honestly challenging to me personally as I didn't have enough experience to manage the cross site and also this much talents in short term. I don't think I could be the best even better, but this experience is definitely still living in my heart, and helping myself for moving forward.
- software -
Maya (VRay), Mari, Photoshop (Texture), Nuke
Production credits:
CLIENT : Microsoft / Crystal Dynamics
PRODUCT : Rise of the Tomb Raider
AD AGENCY :
Production Company : Digital Domain 3.0 Inc.
Directors : Neil Huxley
ANIMATION & VISUAL EFFECTS: Digital Domain 3.0 Inc.
僕の今回の仕事での役割は、CGリードとしてキャラクター、背景、プロップ含む、全てのアセットに責任を持つことと、ライティング・チームをリードすることでした。今にして思うと、CG Leadという役職は、この仕事を境にコマーシャル仕事における僕の仕事となりましたが、この仕事は誰もが役職を聞いただけで仕事内容をイメージできるような一般的な役職ではないので、恐らく他のスタッフも同じだと思いますが、僕自身も若干戸惑いました。これ以降何本かの仕事を経て、要はアセットのスーパーバイザー(Asset Supervisor)とライティング・スーパーバイザーを兼ねているということなんだと、自分自身も含めチーム内理解が進んできたところです。
この仕事は、僕が16年前に仕事を始めて以降、恐らく一番大変な仕事になりました。チームとしては映画もコマーシャルも含めてオールスターと言える顔ぶれで、使用した技術も、過去の映画仕事を通して開発したものばかりです。
デジタルドメインには、ベンジャミン・バトン、トロン・レガシー、マレフィセントといった、いくつかの映画仕事を通して作り上げた、人間の顔をCGで作る 場合のモデリング、テクスチャリング、ルックデブのワークフローがあります。フェイシャル・アニメ-ションにはMOVAテクノロジーを、髪の表現には自社ツールのSamsonを使うなど、普段のコマーシャル・プロジェクトとしては、破格の内容でした。これらはワークフローを 厳格に守ることで、きちんとしたクオリティを保つことが出来るようになっているのですが、コマーシャルのスケジュールでその全てを実現するのは、まだまだ簡単 とは言えません。
3体のキャラクター、1体のクリーチャー、多くの背景アセットなど、スケジュールに対して正直目がくらむほどの物量でしたが、全アーティストが文字通り死力を尽くして何とか完成させることが出来ました。
My roll on the show: Senior 3D Generalist
What I did:
- Modeling/Texture/Lookdev/layout/lighting: for environment
More Details:
We worked for the commercial spot for "GS" series in Lexus's carline up. Seemingly hanging in that car looks like a CG, but the car is actually the plate. The biggest CG component would be almost full 3D intersection environment.
I was responsible for creating for this silent intersection that electricity all disappeared. I prepared the intersection, buildings and some props like a street lights and signs as 3D assets and laying them out with our VFX supervisor and director. I needed to be off to another show before finishing the project, so I prepared the initial lighting and layer template setup, then left the rest of the shot lighting tasks to the team.
- software -
Maya (VRay), Nuke
Production credits:
CLIENT : LEXUS
PRODUCT : GS350/GS350 F Sport
AD AGENCY : Team One
DIRECTOR : Joseph Kosinski
ANIMATION & VISUAL EFFECTS: Digital Domain 3.0 Inc.
レクサスのGSシリーズのコマーシャルです。一見吊るされている車がCGのように見えますが、実際は車は実写で、背景がフルCGです。監督の希望で、本当にクレーンで車を吊って撮影しました。監督が電気が全て消えた街の交差点をイメージしていたのですが、電気を全て消すことも、交差点で車を吊るすことも現実的ではなかったため、CGで、ということになりました。車に対する街の写り込みなどはCGで作って後から合成しています。
今回は動く要素が全くなかったので、背景のデザインからライティング設計までのほぼ全てのディべロップメント作業を担当しました。僕自身はショット・ライティングが始まる前に他の仕事に抜けなければならなくなったので、完成したアセットとレイアウト、スチールレベルで調整したライティングを引き渡し、残りの作業、主にレンダリング作業やコンポジターから要求される素材出しなどの作業を、他のライティングアーティストに任せることになりました。
作るものがこの交差点だけだったので、まずは道路、そしてビル、最後にベンチや信号機などのプロップを作ってレイアウトしました。分業することが前提の規模の大きな仕事と違って、レイアウトとモデリング、テクスチャリング、ルックデブ、ライティングを全て同一シーン上で完成させて、要素ごとに、つまりライトキットやビルなどの3Dアセットなどに分けてパブリッシュし、後から来るライティングアーティストがショット・レンダリングになるべく困らずに入れるよう後片付けをして、他のスタッフより一足早く作業を終えました。
My Roll on the show: Senior 3D Generalist
What I did:
- Shot Lighting for the cars flying. Especially the show this page would show.
- Re-creating 3D environment based on the plate for lighting/reflection purpose
More Details:
In this Super Bowl spot, Laurence Fishburne reprises his role as Morpheus to unveil the truth about society’s notions of luxury – and the Kia K900. To create a Matrix-worthy CG environment of flying cars, warping buildings and bendy spoons, David&Goliath tapped Digital Domain to work with Directors Carl Erik Rinsch and Colin Jeffery.
I was responsible for Lighting work for for most of shots include the shots car flying except the last shot, car exterior and interior extension. First I made 3D environment using the plate and tracking. After matching the lighting to the plate, I brought the cars to the 3D space and lit and reflect the enviro.
- software -
Maya (VRay), Nuke
Production credits:
CLIENT : Kia
PRODUCT : K900
AD AGENCY : David&Goliath
DIRECTOR : Carl Erik Rinsch and Colin Jeffery
PRODUCTION COMPANY : MJZ
ANIMATION & VISUAL EFFECTS: Digital Domain 3.0 Inc.
KIA K900のスーパーボール・スポット用コマーシャルです。映画マトリックスにインスパイアされた世界観の中にローレンス・フィッシュバーン扮するモーフィアスが登場し、「真のラグジュアリーが知りたければこのキーを取れ」とK900のキーを差し出します。
この仕事での担当はライティングでした。劇車のK900は撮影してあり、僕らが作ったのは空に舞い上がる車たちです。日本にいた時、良く撮影現場で車の撮影を見ていましたが、「車は鏡と同じだ」というフレーズを良く耳にしました。車のボディの反射率は、もちろん鏡のそれではないですが、いくつかのクロムのパーツはそれに実際に近いですし、法線の向きによっては、実際に鏡に近い反射率を返します。そのため車のライティングは、いかに環境をCG空間に再現できるかが重要です。きちんと環境が再現できれば、それだけで車のライティングの8割は終了です。そのために手っ取り早い方法は撮影現場でクオリティの高いHDRを準備することです。車が止まっていれば、これをドームライトに適用するだけでも十分なんですが、劇車が走っている場合は、車とCG環境との相対関係がもう少し厳密に要求されるため、撮影したHDRを簡単に作った環境の3Dモデルに投影し3Dスペースに乗せ直します。HDRのままでは、環境情報が仮想の天球体上に存在してしまい、車は走っているのに写っている環境が動かず、動いて見えないという結果になってしまうからです。よくやる方法としては、カメラプロジェクションを使います。3Dモデルで簡単に作った環境にカメラを置き、原点にカメラを置きます。その後、HDRを先ほど置いたカメラ・プロジェクションで天球体投影した後、3Dテクスチャノードの位置情報を調整して、HDR画像と3Dモデルの位置を合わせます。
今回は、HDRのプロジェクションだけではライティングの再現が今一つだったので、路面を実際にシェーディングし、撮影プレートにぴったり重なるように街灯をCGで作って、CGライトを置きました。HDRのプロジェクションは、建物などには有効でしたが、街灯などは小さ過ぎて正確に投影するには難があり、きちんとライティングの再現が出来かったからでしょう。代わりにCGライトを置くことで上手く馴染んでくれました。
また、登場人物はスタジオ内で動かない車の中で撮影しています。そこで別途撮影した背景素材に、天井やガラスなどのCG素材を足して車の外観を完成させ、CGで作った環境を写り込ませて車が走っているように見せています。
My Roll on the show: Senior 3D Generalist
What I did:
- Modeling, Texture, lookdev, layout, lighting for the hero car and full 3D city environment
- Lighting: last shot
More Details:
I joined to this show as a senior 3D generalist and was responsible for the last big full CG shot mainly. The first 16 frames of the shot is a live action plate, but it's turning into full 3D CG in next 15 frames so that we are able to animate the camera as we need. To do that, I recreated all enviro and the car assets as well as the lighting in 3D space. We worked this under commercial pipeline and I completed all CG components for the shot from modeling to lighting within 3 weeks basically.
- software -
Maya Nuke Photoshop Mari
Production credits:
CLIENT : NISSAN
PRODUCT : Qashqai
AD AGENCY :TBWA\G1, TBWA Paris, Else.
Production Company : Digital Domain, Inc.
Director : Joseph Kosinski
ANIMATION & VISUAL EFFECTS: Digital Domain 3.0 Inc.
この仕事で一番大変、かつ楽しかったのはラスト・ショットです。道を右折しようとする劇車を撮影していたカメラが急に引き始め、数ブロック後方まで移動した後で今度は上空まで移動します。空から街を見下ろすと、街の光がNISSANのロゴを形作っているというショットです。このショットは初めの数フレーム以降、いつの間にかフルCGになっているのですが、車はもちろん、建物も、交差点も、木も、信号も、車に乗っている人物もCGです。カメラをこのように急激に引く様なことは現実的には不可能なので、もちろん撮影できません。そこで全て3DCG上に乗せ変えることで、カメラを自由にさせることにしました。車の動きやライティングを完全に合わせることと同時に、背景の街並みを美しく見せることにも注力しました。
このショットはモデリングから、何から何まで任せてもらえたので、自由にどんどん作って行くことが出来ました。奥の高層ビルなどにモデリングレベルでのディティールは必要ないので、殆どボックスにテクスチャーを貼った程度でしたが、この距離であれば十分でした。中間距離にある建物や木などのディティールが必要ではあるけれどもデータ量として軽くあってほしい要素は、モデリングやテクスチャリングまで施した後でプロキシーに変換して、大量にレイアウトしています。近景に関してはある程度ディティールをモデリングしなければならなかったのですが、流石に一人で質感まで完璧には出来ず、テクスチャーに写真要素を上手く混ぜ込むことで、ディティールを確保しようとしました。
それ以外のCG要素としては、主人公がビルからケーブルを下りて行く一連のショットでしょうか。ここではケーブルの組み立てアニメーションと、いくつかのショットで主人公のデジタル・ダブルを使って実写で出来なかったアクションを実現しています。
My role on the show: Senior 3D Generalist
What I did:
- Modeling/Texture/Lookdev: environment assets like glasses shaped mirror, bath tab, crowned gaga
- Texture/Lookdev: golden gaga statue, fame perfume (product)
- Animation: spiky mirror (animated in 3dsmax)
- Shot Lighting: giant gaga shot (men climbing)
More Details:
I joined to the show as a senior 2D/3D generalist and was responsible for modeling, texturing, look development, animation and lighting for several CG assets and shot works. We took lots of photos of GAGA statue and props in the studio and generated photogrammetry and used it as reference model to refine the render model. I sculpted and textured all those assets in ZBrush. The geometry based Animation are sometimes done in 3dsmax as needed and exported as fbx file with point cache back to Maya for render. Lookdev and lighting are done by VRay/Maya.
- software -
Maya (VRay), 3dsmax (for creating liquid like effects on mirror), ZBrush, Topogun, UVLayout, Nuke, Photoshop
Production credits:
CLIENT : Little Monsters
PRODUCT : FAME
Production Comapany : Digital Domain Inc.
Director : Steven Klein
Animation & Visual Effects by :Digital Domain Inc.
レディ・ガガがプロデュースしたFAMEというパヒュームのコマーシャルです。尺もミュージックビデオ並みに5分と長く、非常に作り応えのある仕事になりました。このプロジェクトはスケジュールに恵まれ、結果4ケ月近くをCG作業にあてることが出来たため、ごく少数のCGアーティストだけで完結させた珍しい仕事になりました。僕もまるで日本にいた時のように、モデリングからアニメーション、レンダリングまで、かなり自由に仕事させてもらいました。
内容的には、基本的にフォトリアルVFX路線だったと思います。ただ、これは監督の意向だと思うのですが、フォトリアルともまた違う、何というかCG臭さを楽しんでいるような方向に意図して演出しているようにも思えました。フォトリアルなCGを作ろうと思った時に通常避けるような手法や表現を敢えて入れてくると言うのか、、。全然リアルに見えない部分を喜んでくれているようにも思えて、方向性を見定めるのに苦労しました。最終的にもなんだか不思議な絵になっていますが、正直に言って、これもまた楽しい経験でした。
殆どのアセットはZBrushで作成し、スカルプトした後でローポリゴンのベースモデルをZBrush上で作成し、差分をディスプレイスメントマップとして書き出して、Maya上でシェーディングを施しました。この頃はZBrushにとても興味があり、出来る限り使ってみるようにしていました。ZBrushにZremesherがついて以降は、Dynamesh等で先にハイ・モデルを作ってしまった後で、簡単にロー・ポリゴンのベースモデルを作ることが出来るようになりました。以前はロー・ポリゴンモデルをMayaで作って、ZBrushではディティールを足す、という住み分けをしていたんですが、オーガニック形状の場合は初めからZBrushでも、最近は上手くいくようですね。テクスチャーも、今回はZBrushのポリーペイントを使用しました。デジタルドメインではテクスチャリングにMariを使いますが、こういったスカルプトが必要なモデルは、モデルの凹凸とテクスチャーに関連性を持たせた方がリアルな結果になることが多いので、ZBrushかMudboxが得意だと思います。Mariでそれをやろうとすると、細かい凹凸まで表現されたハイ・モデルを作業が重くなることを承知で読み込むか、ZBrushなどからキャビティーマップやディスプレイスメントマップを書き出して、それをガイドにしてディティールを描きこむことになるので、一人でモデルもテクスチャーもやるような場合だと、余計な手間がかかってしまうわけです。
また、特殊なジオメトリーベースのアニメーション制作には、本当に久しぶりに3dsmaxを使いました。近年デジタルドメインでは、インハウスの既存パイプラインに適合しないアプリケーションは基本的に使用しないため、3dsmaxを使うこと自体非常に稀です。ただ、ソフトによって得意なことが明確にあるので、ソフト間データのやり取りが確立されている場合に関しては、ワンオフ作業と割り切ってパイプラインに囚われないやり方も個人的には良いんじゃないかと思いますね。こういった小さな会社では当たり前のようにやれていたことが、大きな会社では意外に出来ない場合もあったりして、難しいところです。今回もレンダリングだけはパイプラインにのせる必要があったので、3dsmaxからalembic cacheやfbxをMayaに吐き出し、Maya上でレンダリングしました。レンダラーはVRayです。
My title on the show: Senior 3D Generalist
What I did:
- Texture/Lookdev: for hero characters (Marcus, Dom) and some enemy creatures
- Lighting: last shot (camera follows Dom and see all 4 hero characters)
More Details:
I was responsible for Look development for the hero and the enemy characters especially Marcus and Dom, and lighting work for the last shot I showed on this page. We received most of amazing game models and textures from our clients, but some hero assets needed to be a bit more detailed for this show because those assets were designed and optimized for Unreal Engine. To add more details for their skins, I painted the small wrinkles, sweat marks, injuries and dirt onto the original skin textures, and layered them on top of the original skin shade. Lighting was not a trouble in this show technically. I just tried to keep the same game atmosphere as much as possible and everything in back lighting.
- software -
Maya (VRay), ZBrush, Topogun, UVLayout, Photoshop, Nuke
Production credits:
CLIENT : Xbox
PRODUCT : Gears of War 3
AD AGENCY : Twofifteen McCann
Production Company : Smuggler
Production Company : Digital Domain, Inc.
Director : Adam Berg
ANIMATION & VISUAL EFFECTS: Digital Domain, Inc.
Epic GamesのGears of War3のトレーラーです。デジタルドメインは1作目からトレーラーを担当させて頂いていて、一作目のトレーラー、"Mud World"は、今でも僕のお気に入りです。僕が入社する前の作品なのが残念ですが、、、。今思うとトロンのコシンスキー監督が演出されていて、CGスタッフも良かったんですね。Real time Engineを使った映像作品だったにも関わらず、素晴らしいクオリティでした。
僕自身も担当した前作のトレーラーもUnreal Engine3を使って作られましたが、今作はシリーズ始まって以来のプリレンダーによるフルCGアニメーション作品です。
僕が担当したのは、ドム、マーカスといったキャラクターのルック・ディベロップメントとこのページにも載せた、ラストカットのライティングです。
My roll on the show: Senior 3D Generalist
What I did: modeling, texturing, lookdev and lighting for the character.
More Details:
I was responsible for the RESIBOO character includes Modeling, texturing, and look Development. The basic face design was come from a concept artist as Ztool and I sculpted for the rest of his body and combined all together in ZBrush using Dynamesh. ZRemesher was not built in ZBrush at the time yet, so I re-topologized it in Topogun to make a base model for animation and rigging use. After wrapping UV in UVLayout, I brought the completed base model back to ZBrush and re-projected the original hi-details to the mode and finished texture works in PolyPaint as well and extracted the disp and color textures from there. Then I combined all in Maya and finished Look Development in V-Ray.
- software -
Maya (VRay), ZBrush, Topogun, UVLayout, Nuke, Photoshop
Production credits:
CLIENT : PAM
PRODUCT : PAM Cooking Spray
AD AGENCY : DDB San Francisco
Director : David Rosenbaum
ANIMATION & VISUAL EFFECTS: Digital Domain, Inc.
今作では、Resiboo(レジブー)呼ばれるキャラクター・アセットを担当しました。Resibooというのは、劇中ではResidue(残飯)の妖精のことで、つまりお皿を洗わずに残りかすをつけたまま仕舞っておくとこうなるよ、というコマーシャルです。モデリング、テクスチャー、ルックデブのほか、半分くらいのショット・ライティングも合わせて担当しました。
まずは、コンセプト・アーティストがラフに顔の表情などのモデルをZBrushでスカルプトして送ってくれたので、ZBrushで開くとモデルはDynameshで作られていました。体の部分がありませんでしたから、それらをDynameshのまま作成してしまった後、Topogunに取り込んでリトポ作業に入りました。リグとアニメーションで使うベースモデルの制作のためです。今であればZRemesherを使うところですが、まだ当時はTopogunを使う人が多かったように思います。UVLayoutでUVを展開したモデルをZBrushに読み込み直し、元々スカルプトしてあったディティールをプロジェクションし直し、ディスプレースメントマップとして書き出しました。Mariを使うのが面倒なくらいシンプルなモデルだったので、ZBrush上でPolyPaintを使ってテクスチャーまで描いてしまって、Maya-VRayでルックを仕上げました。
My roll on the show: Senior 3D Generalist
What I did:
- Modeling/Texture/Lookdev: airport
- Texturing/Lookdev: Interior cabin (we received CAD data for the model)
-Lighting: shots on this page
It was interesting project to create the entire airport in 3 weeks. Of course it included model, texture and lookdev for all assets. Matte paint artist prepared the basic design of the airport in 2D and I used it as a blue print of it. I quickly modeled and textured for the terminals, buildings and props and laying them out and upreso’ed the original matte paint as the texture to 16k. The airport vehicles were also needed to make the airport live then created the vray proxy mesh of the hero airplane and scattered many copies to everywhere on the airport.
The another thing I worked on would be the cabin of the airplane. The seats and people were shot in the stage, but needed to extend the cabin to create the airplane.
More Details:
Maya (VRay), Nuke, Photoshop
Production credits:
CLIENT : UNITED AIRLINES
PRODUCT : Prefab
ANIMATION & VISUAL EFFECTS: Digital Domain, Inc.
久しぶりに空港を作りました。飛行機と、飛行機のキャビンも人物と座席以外はCGです。カメラが凄いスピードで下りて行くので、かなりディティールを無視して、見える部分だけを作り込みました。空港のある島全体と、キャビンに関しては2-3週間かけてほぼ一人で作業したのですが、任せてもらえる仕事というのは楽しいものです。VFXスーパーバイザーが若いのにとても優秀で、あっという間に、殆ど修正もなく終わりました。難しいところや見どころもそれほどないCMかもしれませんが、楽しかったのでとても良い印象があり、このHPで紹介することにしました。地球はマットペイントで、FX出身のVFXスーパーバイザー自らが飛行機雲と海をレンダリングしました。
My roll on the show: Senior 3D Generalist
What I did:
-Modeling/Texture/Lookdev: for "blue city" (high tech side)
-Lighting: shots on this page
We received lots of game assets created in 3dsmax by the client and converted them to our Maya pipeline. Our TD worked for the tool to convert the max’s vray shader to maya vray shader automatically. That tool worked about 50%, so I took it over and completed it manually for the rest of the process. Many models could be used as they are, but some of them needed to be adjusted for the story telling of our show. I and another generalist worked for model, texture and lookdev as needed.
Lighting was a fun part of this show as we could create all for the show as we want. As soon as I and another generalist finished the asset and layout works, we moved to lighting and shared the task based on the high-tech city and old industry city. I was responsible for high-tech side of the cities.
More Details:
Maya (VRay), Nuke, Photoshop
Production credits:
CLIENT : EA Games
PRODUCT : SIMCITY
Director : Vernon Wilbert Jr.
ANIMATION & VISUAL EFFECTS: Digital Domain, Inc.
EA Games、SIMCITYのトレーラーです。箱庭的なミニチュアの世界観を目指していたのですが、最後の方針転換で、ミニチュア感を演出していたレンズ・デフォーカスがなくなってしまいました。てっきり手前も奥もフォーカスから外れると思って油断していたので、衝撃的でした(笑)。でもこれはこれで良いかもしれません。フォーカス感があった方が、もちろんそれを前提に作っていたのでリアルには見えていたんですが、せっかくのゲームの世界観が殆ど見えなくなってしまいますからね。3dsmaxで作られたゲームモデルをお借りして、プリレンダー用に作り直しつつ、アニメーションやエフェクトの要素を足して行きました。僕ともう一人のアーティスト、2人でFX以外のほとんどのCG作業を担当したんですが、流石に大変でした、、。ただ、個人的には好きな仕事です。この仕事を通して、人生においてもとても良い友人ができましたし、楽しんでやれたのが、なんとなく絵にも出ているような気がします。全然リアルにはなってないですが、映像として楽しんでもらえたら良いなと思います。
My title on the show: Senior 3D Generalist
What I did:
- Modeling/Texture/Lookdev: for environment assets like bridge, tunnel and underground parking garage
- Lookdev: for hero car (C350 coupe)
- Lighting: Tunnel, Parking garage sequences (shots on this page for example)
More Details:
Whole environment we created needed to look like 3D view on google map as a concept. and we designed the whole computer generated virtual world using Maya and Nuke. Most of the environments were created in Nuke using 3D projection and added 2D trick to make it looks like 3D view of google map.
I was responsible for all environment assets especially created in Maya which are bridge, tunnel and underground parking garage as well as the shot lighting. After I rendered the environment, compositor applied several 2D effects to make it look like Google Street View.
- software -
Maya (VRay), Nuke, Photoshop
Production credits:
CLIENT : Mercedes-Benz
PRODUCT : C350 Coupe
AD AGENCY : AMV BBDO
Production Company : RSA Films, Digital Domain Inc.
Director : Carl Erik Rinsch
ANIMATION & VISUAL EFFECTS: Digital Domain Inc.
Mercedes Benz C350 CoupeのコマーシャルWeb企画で、"Escape the map"の紹介です。主人公がGoogle Mapのようなパラレル・ワールドに取り込まれてしまい、その世界の住人の力を借りて脱出のため奔走するというストーリーです。
コンセプトとしてGoogle Mapの3Dビューのような世界観を作るということがあったので、多くの背景は、実はNuke上で作られています。ごく簡単な3DモデルをMayaで作成し、objファイルとしてNukeに読み込み、複数の写真をプロジェクションしています。Google Mapの3Dビューというのは、システムの都合上、撮影時期が古かったり、解像度が低い写真などがパッチワークのように組み合わさって出来ているので、こちらもそういった効果を意図的に作りだすために、敢えて解像度を落としたり、ぼかしたりした画像を組み合わせたり、アニメーションさせたりしています。
僕が担当したのは、3DCGで作らなければならなかった、いくつかの背景アセット制作と、C350の外装、ショット・ライティングです。当時、英語がまだ弱く、なぜそこだけMayaで作るのか、疑問に思いながらも上手く質問できなかったのですが(苦笑)、橋やトンネル、駐車場といったいくつかの背景アセットは、Nukeではなく結局3DCGで普段通りの方法で作ることになりました。モデルはMayaで、テクスチャは、当時はまだMariを使っていなかったので、PhotoshopやNukeで準備しました。ルックデブはVRayです。
こういったコマーシャル作業になると、分業にも明確な決まりはなく、アーティストが出来るのであれば、特に分業することもなくどんどん作って行くことが出来ます。背景や車などのアセットなどの場合、分業をするよりも、むしろ一人でやってしまった方が早い場合もあります。モデルやUVなど、分業しようとすると必要以上に時間をかけてやることになるんですね。例えばですが、この建物は裏側が見えないので、表だけUVを張って裏はもういいや、という場合でも、仮にモデルとUVを分業するとなると、他の部署、テクスチャーやルックデブから文句を言われたくないので、モデラーはある程度きちんと、必要ないだろうと思う分までやってしまったりします。テクスチャーにしても、自分で質感を決めるのであれば必要なものを必要な分だけ準備すれば事足りるところ、そこを分業しようとすると、ルックデブアーティストに後々文句を言われないようにするために、必要以上のテクスチャーを描いてしまったりします。逆に言うと、それらのプラスアルファの要素が集まってクオリティレベルが上がって行くことも当然のことではあるので、結局は時間に対して必要なクオリティのレベルを見切ることが重要になって来ます。
劇車のC350は全てCGで、CADデータをもらってルックデブを施し、ショットに入れ込んでライティングするという流れでした。ライティングは現地で撮影したHDRを、Nukeのプロジェクション用にモデラーが準備していたラフな背景モデルにプロジェクションして使いました。太陽光源だけはHDRから切り離して、CGライトに乗せ変えましたが、特に難しいことはしていません。Google Mapの3Dビューのような世界観、というのはCGでレンダリングしたショットにも適応され、一旦リアルにレンダリングを施した後で、Nuke上で複雑なデジタルパターンやエフェクトを足して、敢えて2D的な要素を加えています。
My title on the show: Senior 3D Generalist
What I did:
- Modeling/Texture/Lookdev: for environment assets Library building (interior/exterior), all Sony products for the display shot
-Animation: books, shelves, pillars and such
-Lighting: shots on this page
More Details:
I joined to this show as a Senior 3D generalist, and was responsible for design, modeling, texturing, look development for the interior, and exterior of the library building. I also animated the assets like books, shelves, chairs and destructed pillars,,, The destruction of the pillars may look like rigid body dynamics simulation but it is actually the key frame animation I made. That way was more flexible to control the pieces in short term project. After finishing an asset works, I also worked for lighting works on this page includes products shot. This commercial is shot in stereo camera and created as a physical stereo 3D movie.
- software -
Maya (VRay), 3dsmax, Photoshop, Nuke
Production credits:
CLIENT : SONY Corporation of America
PRODUCT : 3DTV BRAVIA
AD AGENCY : Grey London
Director : Arev Manoukian / Spy Films
ANIMATION & VISUAL EFFECTS: Digital Domain, Inc.
2011年のコマーシャル仕事で、"2WORLDS"の紹介です。SONYの3D関連商品を一同に集めたコーポレート・コマーシャルです。この仕事はコマーシャルの規模としても非常に大きかったですし、クライアントが日本のSONYということもあって思い入れを持って仕事をしました。メイキングを見ると様々な素材を実際に撮っているんですが、素材撮りしたカメラと、人物を撮影した3D映像との視差の問題があって、素材としては使うことが出来ず、結局ほぼ全てCGで作ることになりました。普通の2D映像であれば、撮影したガラスや煙、本などの素材をどんどんコンポジットで入れて行けるんですが、実写素材が使えなかったことは、クオリティの面で残念でした。
映画TRON Legacyをやった時も思いましたが、3D用映像として演出された映像は、やはり3Dで見なければ分からないんだなと感じます。例えば、劇中で大量に飛んでいるガラスなどは、3Dで見るとすぐそこに浮いているように見える、そう見える空間にこだわりをもって配置しているわけなんですが、こうやって2Dで見ると、レイアウトとして違和感を感じたりもします。何故そこにあるんだろうかと。また人物がはっきりと浮き出て見えるように、エッジをぼかして馴染ませたりせず、敢えてくっきり残しているんですが、2Dで見ると馴染みに関して違和感が出るんですね。最近3Dのコマーシャルは殆ど見かけなくなってしまいましたが、2011年は非常に多くの作品を3Dで納品したように思います。
僕が担当したのは建物の内装のデザインから実制作までの殆どと、飛び出す本や紙、砕ける柱などのアニメーション要素、図書館のショット・ライティング、最後の商品カットなどです。図書館やオフィスの内装は、直接CGでどんどん作って行って、何度かの監督チェックを経てデザインを決めた後、UVもテクスチャーも、質感もライティングも、同じシーン上で作ってしまいました。映画仕事の場合はそれぞれの工程を別々のアーティストが担当できるようにワークフローが分かれているんですが、コマーシャルの場合は同じアーティストがショット毎に全部やってしまうことも少なくないです。
大変だったのは、実際には何よりも3D作業だったんですが、3D作業の大変さは、2Dで見ても全然伝わらないので、その点は残念なところです。
My roll on the show: Senior 3D Generalist
What I did:
- Creating original environment in Unreal Engine 3
- Lighting: Shot assemble and lighting in Unreal Engine 3 for the shots on this page
- Animation: A.I. based enemies in Unreal Engine 3
- FX: gun fires, muzzle flashes, explosions and smokes in Unreal Engine 3
More Details:
We created the game trailer for Epic Game's Gears of War3 in Unreal Engine3. I hadn't used any kind of real time engines at the time, so I got a week to be familiarized with Unreal Engine3 using the user manual and video tutorials.
All assets were already prepared by our client in the engine and we could immediately start for shot work.
I picked up whatever useful stuffs for creating the environment from Asset Browser first and brought all characters there. Animators animated he hero characters in Maya and exported the data and I attached that to the character assets in Unreal Engine.
I could take advantage of using FX assets Epic provided in the engine too. I just simply made a node tree to use their fx and attached them to the weapons as the gun fire, muzzle flash and explosion. It was also easy to add camera focus, environment atmosphere like fog, ashes and smokes by myself. A.I. character system also impressed me. 500 enemy creatures started attacking to the target asset automatically as soon as I determined the timing, placement and target asset in the engine.
- software -
Unreal Engine3
Production credits:
CLIENT : Xbox
PRODUCT : Gears of War 3
AD AGENCY : Twofifteen McCann
Production Company : Smuggler
Production Company : Digital Domain, Inc.
Director : Vernon Wilbert Jr.
ANIMATION & VISUAL EFFECTS: Digital Domain, Inc.
Epic Gamesのゲーム、Gears of War3のトレーラーです。僕は高校卒業と同時に、あれほどハマっていたゲームを全くしなくなってしまいました。Gears of Warと言われても、全くどんな作品なのかも分からなかったので、Youtubeで前作Gears of War2のゲームプレイ映像をスタートからクリアまで見せてもらうことにしました。便利な世の中になりましたね。最後まで見て、なるほど良くできているなあと感心してから仕事に臨んだおかげで、ゲームをやったこともないのにキャラクターに思い入れを持って仕事が出来ました。ドムなんて、何も知らなければ唯の髭のおっさんみたいなキャラクターなんですが、前作での悲劇を知ったことによって、なぜあんな風貌なのかも理解できました。アセットひとつ置くにも理解が必要ですから、見ておいてよかったです。
このトレーラーは、Unreal Engine3を使用し、ゲームアセットをそのまま利用して作られていて、レンダリング作業なしという、僕がCGを始めて以来初めての全編リアルタイム仕事となりました。リアルタイム・エンジンすら使ったことがなかったので、仕事の初めに1週間時間を貰い、Unreal Engineと英語のマニュアル、ビデオ・チュートリアルを貰い、ひたすら読みこんで作業に備えました。
僕が担当したのは、ドムという髭の男が倒れて、アーニャという女性のキャラクターが助けに入るショット以降、最後までの一連のショットです。アセットはもう全て出来ていたので、ゲームエンジン上で背景を作るのに適したアセットを好きなように組み合わせ、トレーラー用の新しい背景を作成し、Mayaで作ったキャラクターとカメラのアニメーションデータをインポートして、既存のアセットにアタッチしました。ガン・ファイヤー、マズル・フラッシュなどのエフェクト効果もアセットとしてエンジン内に実装してあったので、それを組み合わせて簡単なツリーをノードベ-スで組み上げると、思い通りにエフェクトを追加することもできました。面白かったのがA.I.を使った群衆キャラクターのアニメーション作業で、ノード・ツリーを組んでアニメーションのスタート位置と敵を設定してやると、大量の敵キャラクターが勝手にターゲットに向かって襲いかかって行くわけですね。この仕事はリアルタイム・エンジンを使って作るとは言え映像作品なので、カットもあれば編集もあるんですが、勝手に襲いかかって行く上に、毎回動きが違うので、タイミングやレイアウトを決めるのに苦労しました。ただレンダリング作業が要らないのはとても新鮮な経験でした。今後自主制作でアニメーションが必要になったらリアルタイムで行こうかな、、、と真面目に考えるほどです。
カメラのフォーカスを設定したり、大気にチリや煙、灰を降らせたり、ライティングも自由にできましたから、自由度という点では心の底から楽しめました。あと少し僕がリアルタイムエンジンの技術に精通し、エンジン自体の描写力が上がってくれば、と思いますが、それもこれもEpic Gameさんが準備してくれた素晴らしいアセットありきの話なので、リアルタイムと言っても作り手が手を休める暇はなさそうですね。
My Roll on the show: Senior 3D Generalist
What I did:
- Modeling/Texture/Lookdev Lighting: for exterior building assets called "Lotus Casino Hotel”.
- Modeling/Texture/Lookdev: for some of the attractions for Hotel interior
More Details:
- software -
Maya (VRay), Photoshop, Nuke
Production credits:
CLIENT : 20th Century FOX
Director : Chris Colombus
ANIMATION & VISUAL EFFECTS: Digital Domain, Inc.
The first floor of the hotel exterior is live-action. Everything else is VFX set extension I created in CG. I was a generalist artist on this show and finished modeling, texturing, lookdev and lighting all at once in the same Maya scene. The interior of the "Lotus hotel" is an amusement park. We created a fancy park with a bulb light animation. I created some of the attractions for it.
2010年公開の映画「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」のVFXの一部を担当しました。この頃、僕はコマーシャル部門の一員でしたが、スケジュールの都合もあって映画部門の方で作りきれなかった分を、コマーシャル部門で担当することになったのです。同じ映画を映画部門とコマーシャル部門で担当するのはそれほど珍しいことではありませんが、それぞれのワークスタイルは大きく違います。映画部門の方は分業が基本ですが、同じ映画のタイトルでも、コマーシャル部門で受注した場合はジェネラリストがショットの大半を、特に分業することもなく仕上げていきます。特に今回の場合はリグやアニメーション、エフェクト等の動きの要素が多くなかったため、特に分業する必要もありませんでした。
僕が担当したショットは、ホテルの一階部分を撮影して2階部分より上の階をCGで作るというものでした。この手の作業を、こちらでは「セット・エクステンション」と呼んだりします。つまり、セットで撮りきれなかった部分をVFXを使って拡張するという意味です。モデル自体がそれほど複雑でなかった点と、ライティングにムービングライト(電飾アニメーション)を多用することになっていたので、マットペイントではなくCGで制作することになりました。コンセプト・アーティストから2Dのグラフィックが上がってきていたので、まずはそれを参考にしてホテルの外観をモデリングし、UVを展開、テクスチャを描いて質感を施し、ライティング部分では電飾をライト・ソースにして遊んでみました。それらを全てMayaの同一シーン上で組み上げています。電飾のアニメーションは、他のモーショングラフィックス・アーティストがシーケンス・イメージを作ってくれたので、バルブのUVに上手く当てはめることで、電飾が動いているように見せました。
また、ホテル内の遊園地もCGです。手前の人物は撮影しましたが、噴水も含めて、それより奥は全てCGで置き換えました。個人的に、この仕事はとても楽しめました。かなり自由に仕事ができたからです。分業を前提した作業と違い、殆どを自分で決めて行けるので、待つことがない分作業もスムーズです。もちろんこのやり方で数百ショットを仕上げることはできませんが、自分の担当する数ショットであれば何の問題もありません。個人的に、こういった、映画の本体から外れたような「ワンオフ」(このショット限りの)仕事は、気分を変えるのにもうってつけだと思います。
My title on the show: Senior 3D Generalist
What I did:
- Texture/Lookdev: for "shark"
- Lighting: for all shots of the show
More Details:
Maya (VRay), Nuke, Photoshop
Production credits:
CLIENT : Nicorette
PRODUCT : Nicorette
ANIMATION & VISUAL EFFECTS: Digital Domain, Inc.
We took advantage of using the shark model from feature film "My Super Ex-Girlfriend" Digital Domain worked in 2006 for this Nicorette commercial. The condition of the model was pretty good but lookdev needed to be converted from Renderman to VRay because of facility level pipeline change. There was not such a conversion tool here, so I just manually look a look into the shader in Renderman and did the similar thing in VRay side. The original texture was also pretty good shape and I just added some scars and wounds as our director needed o top of it.
サメを作りました。デジタルドメインが以前やった、映画 "My Super Ex-Girlfriend" より、サメのモデルを拝借したのですが、残念ながらレンダーマンで作られていたルックデブとテクスチャーのコンバートが上手くいきませんでした。コマーシャル部門が既にVRayに移行していたからです。この作品のコマーシャル監督から、色々と独自の依頼も来ていたので、テクスチャーを描き直して、VRayでシェーディングを施し直しました。ライティング・レンダリングもVRayです。
My title on the show: Senior 3D Generalist
What I did:
-model, texture, lookdev, rig, anim and light for transforming the phone to the camcorder and back to phone
3dsmax (VRay), Nuke, Photoshop
Production credits:
CLIENT : LG Electronics
PRODUCT : LG Versa Mobile Phone
ANIMATION & VISUAL EFFECTS: Digital Domain, Inc.
Detail:
This would be a memorial project for me as it’s the first project I have worked at Digital Domain. I was hired as 3dsmax generalist but this project would be the first and might be the last project I used 3dsmax at Digital Domain because DD switched 3D application to Maya in company wide right after this project.
It was a really fun commercial project I worked on in early 2009. The most fun part of this show for me would be anim and rig. Generalist at DD usually works for lighting or and enviro these days but we used to be able to work for anim and rig, sometimes fx as needed in old days.
2009年にデジタルドメインに入社して、これが最初の仕事でした。やはり初めての仕事は忘れることができません。僕は3dsmax generalistというタイトルでデジタルドメインに入社したのですが、この仕事が結局のところ最初で最後のmax仕事になりました。コマーシャル部門全体が、映画部門に倣ってMayaを使うことになったからです。これ以降も必要に応じて僅かばかりの使用頻度で使って来ましたが、今ではもうライセンス自体ないかもしれません。
作品では、携帯電話がビデオレコーダーやラップトップに変形する部分を担当しました。初めての仕事ということもあって、担当する部分がとても小さかったため、このページにあるショットでは、モデリングからリグ、アニメーションはもとより質感もライティングも全部一人で受け持ちました。
少なくとも僕が渡米するまでの日本のCG業界において、恐らくコマーシャルのCGをやるような会社では、CGアーティストは多くの場合でモデリング、テクスチャリングから始まって、アニメやリグ、FX、コンポジットまで、作品に関わるCG要素はおおよそ全て担当することが多かったように思います。最近はCGの技術も複雑化してきて、日本でも分業を取り入れる会社も増えてきたと聞きますが、この頃までに一通りの技術を身につけることができたのは、今となっては幸運だったと思います。
このHPを編集している2018年現在ではすっかりリグやアニメーションをやらなくなってしまいましたが、CGのとても面白いパートは動きに関わるところがとても多いので、この部分は渡米後とても残念に思うことが多いですね。この仕事でも最も時間を割いたのはリグとアニメーションです。質感とライティングなどは、アセットが少なく形状もシンプルだったことから、1日、2日程度で完成しました。