My roll on the show: Look development Artist
What I did: Look development for Beast character includes few costumes and props
- software -
Maya (VRay), Mari, Photoshop
Production credits:
CLIENT : Disney
Director : Bill Condon
It is Disney's live-action movie "Beauty and the Beast" released in 2017. Many CG characters appear in this movie, but I was in charge of look development of the beast and his few costumes. It’s ended up one year work from the concept development to the final look. The entire lookdev was technically challenging but the specific part I was really much paying attention than others was the hair and the cloth.
2017年公開のディズニーの実写映画「美女と野獣」です。この映画には多くのCGのキャラクターが登場するのですが、僕は野獣のLook Developmentを担当しました。Look Developmentというのは、グレーでなんの質感も付いていないCGモデルに色やつやを与え、光の中で質感を再現し、CGキャラクターがスクリーンでどのように見えるかを決定する仕事です。毛の一本一本の色を決め、目の色や質感を主演のダン・スティーブンスに合わせて作り込み、例えば毛の1本1本の光の反射率や色味を微妙に変えて自然に見せたり、爪の先や皮膚にどれだけ光が透過するかといった、細部にわたるまで気を配ります。野獣のデザインがまだ決定していない段階から仕事をはじめ、多くの意見を取り入れながら少しずつ作業を進め、最終的には一年がかりの仕事になりました。僕はこれまでコマーシャルの仕事も多く、一年以上も一体のキャラクターに時間をかけた経験がなかったので、様々な意味で大きなチャレンジになりました。例えば毎日同じものを見ていると、良かったものまで悪く見えてきて、無意識に良かったところまで壊し始めてしまうことがありました。スケジュールが短い場合であれば壊している暇すらないので比較的1本道なのですが、1年も時間があると、回り道や下手をするといつの間にか来た道を逆走する時間まで出来てしまうのです。そうならないようにするためには、何が良くて何がダメなのか、常にきちんと理解しておく必要がありました。何より時間を割いたのは目と毛です。野獣は全身毛に覆われていて、もともと表情の出しにくいキャラクターなので、ちょっとしたしぐさで役者の印象を残すためには、毛で覆われていない目の表情が殆どすべてと言っても良いほど重要だったと思います。毛についても非常に難度が高く、ちょっとした髪型の違い、色の違いでキャラクターの印象がまるっきり変わってしまうため、何度も何度もやり直しました。一般的に、というよりも僕のルック・ディベロップメントという仕事に対する理解として、一旦技術的に正しいと思われるところまで到達出来たら、技術的な部分ではなるべく変更せず、作業プロセスの安定化やレンダリングの最適化を図った上で美術的な点、つまり色などに必要に応じて変更を加えるというスタンスで当たるんですが、この仕事の場合は様々な点で技術的に安定させるのが難しく、常に技術的、美術的な変更を同時に解決していく必要がありました。
コスチュームにもとても時間がかかりました。今回僕が担当した仕事の中で、野獣本体以外で1番時間がかかったアセットは野獣が登場するシーン以降映画中盤まで着ているコスチュームしょうか。薄汚れたな印象を出すために様々な種類の布を貼り合わせたようなデザインになっていて、CGでの再現が非常に大変でした。また糸のほつれなどの細かい繊維のディティールを表現する上で、Mayaのpaint effectsや自社製のHairツールを使用したりもしています。
ところで僕はアニメバージョンの、つまりオリジナルの美女と野獣の大ファンです。公開当時、僕は中学二年生だったんですが、男友達数人と劇場で鑑賞しました。それ以来ディズニー映画が好きになり、その中でも美女と野獣が特にお気に入りだったんです。だからこの仕事を担当しないかと声をかけられた時は、もう絶対に僕がやりたい、とにかくやらせて欲しいと言って、映画の主演でも射止めた売れない役者のように喜びました。この仕事が完成するまでの1年ちょっとの間、正直に言って上手くいかないことも多く、プレッシャーにつぶされそうになったり、風邪をひいた結果生まれて初めて全く声が出なくなってしまい、でも休んでいる間に誰かが作業を進めてしまうんじゃないか、そんなのは絶対いやだと仲間に嫌がられながらマスクをして職場に通ったりと、色んなことが思い出されます。でもとても楽しい1年でした。8年前に渡米した時はこんな幸運は想像できませんでした。何でも頑張ってみるものですね。
現在は北米はもちろん、日本でも映画が公開されて、多くの人たちが楽しんでくれている様子が伝わって来ました。原作に忠実に作ろうと決めた製作陣に感謝ですね。実際には仕事が終わってからもう一年近く経っているのですが、ようやくほっとしました。今は映画を見てくれた人たちの感想レビューを見ながら、映画のサントラを聞き、このページをアップデートしています。
もしかしたらこの映画をこれから何度も繰り返し観てくれる人がいるかもしれません。僕もオリジナルのアニメ版をそんな風に何度も観て、英語で歌が歌えるようになるほど楽しんできました。そんな可能性を持った映画に関われた幸運と、チャンスをくれたスタッフに心から感謝しつつ、次の機会には何とかもっと期待にこたえられるように、技術を磨いていきたいと思います。
2017 May 17th